6-12 中村まり子さん インタビュー
ソフケン賞 中村まり子さん「こもり唄」
第19回 世界絵画大賞展 2023にて、ソフケン賞を受賞された中村まり子さんにインタビューさせていただきました。(聞き手・構成:はにわきみこ)
――ソフケン賞おめでとうございます。受賞のお気持ちをお聞かせください。
中村:賞をいただけたことがすごく嬉しくって、たくさんの方に見て頂ける場で展示させて頂けたこともすごく嬉しく思ってます。
――今回の作品「こもり唄」の製作時間はどれぐらいでしょうか?
中村:この作品は、2週間ほどです。
――まり子さんの描作品のテーマとは? 受賞作の特に見てほしい部分とは?
中村:私は「母性」をテーマに作品を書いてるんですけど、この作品は量感とかボリュームを大事に描いています。今回の作品は、真ん中にどしっと大きい山があって、その重さをうまく表現できないかなと考えました。
――いつごろから絵の制作を始められましたか?
中村:美術系の大学に入っていて、のちに大学院生として研究室でも制作していました。本格的に描いているのは、19歳から現在までの10年間ですね。
――大学に行くまでの間は、どんな形で絵にかかわっていましたか?
中村:高校の美術部に入って、絵を展示会に出品したりしていましたが、そんなに絵の勉強してたわけではありませんでした。なんか好きなように描いてっていう感じで。大学受験の前に1年ぐらい美術予備校に通ってそこで基礎を学んだっていう感じです。ただ、小さい頃からは描くのが好きでした。両親が美大を出ていて。絵画ではなくて、建築とデザインなんですけど、私が美術の道に進みたいって言ったら応援してくれています。
――ご両親からして美術関係でいいですね。理解がある環境での制作ができますね。北海道のどちらで制作されているのでしょう?
中村:札幌です。
――実は先日、札幌の大丸藤井セントラルとコーチャンフォーに行ってきました。アートをやる札幌の友人宅に滞在したときに、連れて行ってもらったんです。実は私も美術系短大を出ていて、今でも消しゴムはんこを作ったりしているので、とても興味があります。
中村:北海道で画材といえば、大丸藤井セントラル。コーチャンフォーはどちらかというと文具とか書籍、音楽関係が得意な感じですね。
――今制作中の作品は、どんなものですか?
中村:今、壁にかかっているのが制作途中のものです。中央の作品が120号、左右が60号ぐらいの大きさで、祭壇画のような組作品です。
――中村さんの絵のテーマとは? テーマを決めるきっかけは何でしたか?
中村:私は無宗教ですが、友人がキリスト教徒なんです。キリスト教美術には興味があってヨーロッパの宗教美術が大好きなんです。いろいろな宗教美術を見に行ったりしますが、私自身は無宗教なので 「自分自身にとっての神様をみつけたい」という思いを抱いていました。それが、だんだん、母性と重なってきて。縄文土偶も好きなので、そこから女性・母性のイメージを膨らませて、「母」というように詰めていくようになりました。
――土偶は女性をあらわしていますものね。ちなみに私のペンネーム「はにわ」は、埴輪のことなんです。とても親近感を感じています。これまでにどれぐらいの数の作品を作られてきましたか?
中村:実は、ちゃんと数えてはいないのです。学生の時はたくさん描いていて、月1作以上制作していました。今は、1年に数点、という感じですね。
――世界絵画大賞展への応募のきっかけは何でしたか?
中村:絵を出品するようになって、世界絵画大賞展に興味を持った時に私の後輩が大賞をとったんです。審査員の先生方もそうそうたるメンバーで気になっていたので、今年は、ついに初めて出品することにしました。初出品で賞をいただけて本当にうれしいです。
――来年も出品されますか?
中村:是非、来年も出品したいです!
――東京で展示されてる空間がまたすごく良いので、タイミングが合えば、ぜひ、授賞式に合わせて上京していただけたらと思います。これまでソフケン賞を受賞された作家さんたちも、毎年出品されていて、「ああ今年も素敵な作品を作られているなあ」っていつもうれしく思っています。
――今後の制作活動について教えてください。こんな絵を描きたい、とか、こんな場所に飾りたい、などは?
中村:今描いている作品は、祭壇画のような形になっているんです。なんとなくのイメージは、それをたくさん並べて、礼拝堂みたいな感じに見てもらえたらいいなあと思っています。
――「ぜひうちの空間でやってください」っていう企業さんが現れたら最高ですね。
中村:北海道にそういう場所ができたらうれしいですね。
――ところで、現在のライフスタイルは? アート活動のほかに何をしていらっしゃいますか?
中村:はい、2022年の4月から、保険の営業のお仕事をやっています。比較的に時間の自由がきくことと、制作時間を確保できるので。美術を学んで作品を作り上げても、それだけで生活していけるかといわれればそれはちょっと難しいです。それに、描くことに対して、お金になるかどうか? という要素が入ってしまうと……。私の場合はそれを考えずに、自由に作っていたい、という気持ちがあります。
――表現の自由を得るためにお仕事を併行しているのですね。人と会って話すお仕事には、どんな魅力がありますか?
中村:初めてまだ一年ですから、お客様はそんなに多くないのですが。いろんなお客様の、それぞれの人生のお話を聞く仕事です。やっぱり、家にこもって一人で描いている時とは違う、新しいイメージが広がるというか、自分の中にはないヒントが得られる、という感覚があります。そういうところが楽しいです。
――普段、アトリエでの過ごし方は?
中村:仕事が終わって帰ってきてから描くこともありますし、体が疲れているときは、早めに寝て、朝から描くこともあります。油彩は乾くまで時間がかかるといいますが、油彩とテンペラ、メディウムなど併用して、完成までの時間が長くならないように工夫しています。
――制作時には、音楽を聴きますか?
中村:60年代、70年代のイギリスのロックとか好きですね。クラシックもたまに聞きます。制作しているときに音楽を流していることは、多いですね。
――描いているときの気持ちとは?
中村:いつもぼーっとして描いていると思うんですけど。穏やかな気持ちで描いているときが多いですが、たまにムシャクシャすることがあったりしても描いているうちに落ち着いてきます。集中して、その世界に入り込んで夢中になっている感じ。だから時間がたつのがあっという間ですね。
――好きなものや、見たいもの、お出かけしたい場所はどんなところですか?
中村:旅行が好きなんです。ヨーロッパに行けたらいいですね。いろんな美術館とか、教会とか、いろんな国へ行くのが好きです。この絵を描いた人が、ここにいたんだなあって感動します。あとは、動物園とか、国内外にかかわらず、植物園に行くのも好きですね。
――札幌では、白い恋人パークという場所のバラ園を見てきました。美しいバラが咲き乱れていて、何か描きたい!という気持ちに駆られました。創作活動にはやはり、リアルに感じること、インプットが大事なんですね。
――ところで個人的なことで恐縮ですが、パートナーはいらっしゃいますか? どんな関係性ですか?
中村:はい。結婚しています。子どもはいずれほしいなと思っていますね。関係性は「お互い受け入れあってやっているな」という感覚です。私も夫も、苦手なこととか、できないことも多いのでそれを許しあいながらと言うか。衝突する時は、話し合って解決しています。あまり長引かせないようにします。
――パートナーの協力と、心の安定は、創作活動にとって大事なことですね。作品の世界感が温かいのも、人生がそのまま表現されているからなんだな、思いました。
――さて、ソフケン賞の副賞として、B2サイズのラクパネ5枚(5色のフレームカラー)を進呈させていただきます。油絵のキャンバスは入れられませんが水彩画やイラスト、ポスター等を飾っていただければと思います。ぜひご活用頂ください。また、よろしければぜひ、作品を飾ったラクパネをSNSに投稿していただければ嬉しいです。
中村:カフェでの展示とか、グループ展などもあるので、楽しみです。
――札幌での展示があるときは、ぜひ、お知らせください。札幌の友人にもお知らせしたいし、私自身も、札幌に出かけて拝見したいです! これからの創作活動をとても楽しみにしています。
中村:ありがとうございます。X(旧twitter)、Instagramで、展示などの情報を発信していますので、フォローしてくださったらうれしいです。
――本日は、ありがとうございました。
中村まり子さんのプロフィール
1994年生。北海道出身。
北海道教育大学岩見沢校芸術過程美術コース卒業。
同大学大学院卒。
第52回・55回昭和会展入選。
第73回二紀展『福々しい香り』二紀賞受賞。
instagram
https://www.instagram.com/mariko.na.kamura/
X(旧twitter)
https://twitter.com/marikona_kamura
展示会実績(時系列2020~)『作品名』
*Instagramにて過去の展示会が参照できます。
- 「JRタワー・アートプラネッツ・ラスト展」優秀賞
2023年8月4日(金)〜8月20日(日)
プラニスホール - 「Return To Fantasy」
2023年7月23日(日)〜8月29日(火)
岩見沢市絵画ホール・松島正幸記念館 - 「第19回世界絵画大賞展」協賛社賞(ソフケン賞)『こもり唄』
会場:東京都美術館1階第4展示室
2023年7月2日(日)〜7月8日(土) - 「それぞれの小窓5」
2022年12月7日(水)〜12月12日(月)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1条3丁目1-14) - 中村まり子小品展「ふくらかな水面」
2022年8月17日(水)〜8月22日(月)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1条3丁目1-14) - 中村まり子展ー廻るあなー
2022年5月30日(月)〜6月26日(日)
ニューオータニイン札幌
北海道の画家を応援するプロジェクト - 第57回昭和会展:入選『戴きもの』
2022年3月17日(木)〜30日(水)
日動画廊銀座本店(名古屋、福岡に巡回) - 「Nyao in チャオ」
2022年11月25日(金)〜12月7日(水)
画廊喫茶チャオ(札幌市北区北24条西4丁目モンレーブビル3階) - 「第10回われらの地平線-いま・新たなる二紀展からの発信」
2022年7月13日(水)〜7月18日(月・祝)
日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊 - 「あなたのためのカレンダー展Ⅵ」
2021年12月20日(月)〜27日(月)
うしお画廊(東京都中央区銀座7-11-6 GINZA ISONOビル3F) - 中村まり子小品展「萌えるふくらみ」
2021年12月1日(水)〜12月6日(月)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1条3丁目1-14) - 「第74回二紀展」入賞『埋もれる蜜』
2021年10月13日(水)〜10月25日(月)
国立新美術館(1階展示室1C入口) - 「神山財団芸術支援プログラム 第7回卒業成果展」
激励賞『水蜜桃』
2021年10月2日(土)〜10月7日(木)
AXIS GALLERY(東京都港区六本木5-17-1 AXISビル4階) - 「第9回われらの地平線ーいま・新たなる二紀展からの発信ー」
出品『甘やかな朝』
2021年8月11日(水)〜16日(月)
1日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊 - 「KIZUNA2021 -gallery select 油画作家作品展-」〈part2〉
2021年5月24日(月)〜29日(土)
銀座スルガ台画廊(東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F) - 中村まり子個展「やわらかな抱擁」
2021年3月25日(木)〜4月20日(火)
森の岩ギャラリー(北海道岩見沢市緑が丘2-34 北海道教育大学岩見沢校) - 「2020年度北海道教育大学岩見沢校 卒業・修了制作展」『抱擁』
2021年2月11日(木)〜2月24日(水)
【修】HUG(北海道教育大学アーツ&スポーツ文化複合施設)
(札幌市中央区北1条東2丁目4 札幌軟石蔵) - 「2020年度北海道教育大学岩見沢校 卒業・修了制作展」『抱擁』
2021年2月3日(水)〜2月7日(日)
【卒・修】まなみーる(岩見沢市9条西4丁目1-1) - 「あなたのためのカレンダー展Ⅴ」
2020年12月14日(月)〜24日(木)
うしお画廊(東京都中央区銀座7-11-6 GINZA ISONOビル3F) - 「第59回ミニヨン展」『宝物Ⅰ』
2020年12月9日(水)〜12月27日(日)
日動画廊(東京都中央区銀座5-3-16) - 「ニュープラネッツ」グループ展
会期:2020年12月9日(水)〜12月18日(金)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1条3丁目1-14) - 「油展 北海道教育大学岩見沢校油彩画研究室展」
会期:2020年11月26日(木)〜12月7日(月)
HUG(札幌市中央区北1条東2丁目4番地札幌軟石蔵) - 中村まり子小品展「ひるねの皮」
2020年10月28日(水)〜11月2日(月)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1条3丁目1-14) - 「なまぬるい北風」四人展
2020年9月21日(月)〜9月26日(土)
銀座スルガ台画廊(東京都中央区銀座6-5-8トップビル2F)